『ゆきうさぎのお品書き 熱々おでんと雪見酒』

タイトル:『ゆきうさぎのお品書き 熱々おでんと雪見酒

著者:小湊 悠貴(こみなと ゆうき) 
出版:集英社オレンジ文庫 出版年:2017年1月25日
ページ数:246p ISBN:9784086801164 価格:550円+税 

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「ゆっくりでいいんだよ。このさき何十年もつき合っていく家族なんだから」


<あらすじ>

小料理屋「ゆきうさぎ」でバイトをしている大学生の碧。秋のある日、店に訪れた女性客と店主の大樹が何かを話していた。女性は大樹の弟、瑞樹の奥さんだという。わざわざ店を訪ねてきたことには理由がありそうだが、話したくないようで?
“おいしい”シリーズ第3弾!
 思い出のおでん、恋を応援する練り切り、心を解きほぐすおやき…などをご用意しています。
(引用元:『ゆきうさぎのお品書き 熱々おでんと雪見酒』裏表紙)



「序章 過去のある日の店開き」

 大樹が大学に入学する前のある日の店開きの風景。
 まだ大樹の祖母である先代女将が存命しているので、1巻2巻ではわからなかった為人がほんの少し垣間見えるお話。

「第1章 晩秋時雨と牛しぐれ」

 大樹の弟嫁であるひかるが、大樹の実家の旅館の仕事に慣れず、心身のバランスを崩していたところを、すこしだけ助ける話。
 大樹や碧のしたことで、完全に復活するかと言ったら難しそうな症状のひかるだが、誰かに手を差し伸べてもらえるのと差し伸べてもらえないのでは雲泥の差なので、復活するきっかけにはなったのでは。

「第2章 熱々おでんと雪見酒

 大樹がある手紙をきっかけにバイトふたりに過去の話をする。
 人も街も生きている限り不変という事はないけれど、変わって行く先が良い方向だと嬉しい。

「第3章 春の宵には練り切りを」

 商店街にあるケーキ屋・桜屋と駅ビルの中にある和菓子屋・くろおやの店主とその子どもたちの話。
 親の都合で子供まで振り回されるのは溜まったもんじゃないと思うけど、桜屋の娘の星花もくろおやの息子の慎二も高校卒業してるからこそ、親のために動けるのだと感じた。
 高校生で卒業までにちゃんと料理憶えるって偉い。私はレシピ見れば見た目はともかく食べれる味になるので、教わったりしなかったな。ちゃんと人に教わるべきだったかも。

「第4章 梅雨の祭りと彩りおやき」

 商店街の6月キャンペーンの話。
 1巻第4章で「ゆきうさぎ」の記事を書いたライター初登場回。自分のしてしまったことに気づける人物だったという事が分かってよかった。大樹の人の好さが一番出ている話かもしれない。

「終章 現在のある日の店仕舞い」

七夕の日の店仕舞いの様子。

「ふろく 牛しぐれ&おやきレシピ」

 この間から初めてレシピが巻末に着いた。
 作中の料理全てを紹介しているわけではないが、ゆきうさぎのレシピが気になっている人はぜひ挑戦してほしい。

<総括>

 全体的に過去の確執だったり、出来事だったりが現在になって解決していくような内容だった。「ゆきうさぎ」の過去も現在も知れる形だったので楽しめた。
 前の巻のおさらい的なお話。
 こんな雰囲気のお話ですよ、と思い出してもらう導入で、物語に入りやすい。1巻は大晦日で締めくくられていたので、読者の知らない空白の期間があるが、それもいつもどおりの「ゆきうさぎ」だったんだろうなと推測できるような書き方をされている。

こんな人におすすめ

・お料理小説が好きな方
・ほっとするお話が読みたい方
・「ゆきうさぎ」を好きな方