『神様のカルテ3』

日付が変わってしまいましたが、3冊目の読書案内です!
あと2冊……かな?

タイトル:『神様のカルテ3』

著者:夏川 草介(なつかわ そうすけ)
出版:小学館文庫 出版年:2014年2月11日
ページ数:484p ISBN:9784094060188 価格:714円+税

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「やまない雨はないんですから」



<あらすじ>

「私、栗原君には失望したのよ。ちょっとフットワークが軽くて、ちょっと内視鏡がうまいだけの、どこにでもいる偽善者タイプの医者じゃない」
 内科医・栗原一止が30歳になったところで、信州松本平にある「24時間、365日対応」の本庄病院が、患者であふれかえっている現状に変わりはない。夏、新任でやってきた小幡先生は経験も腕も確かで研究熱心、かつ医療への覚悟が違う。懸命でありさえすれば万事うまくいくのだと思い込んでいた一止の胸に、小幡先生の言葉の刃が突き刺さる。映画もメガヒットの大ベストセラー、第一部完結編。解説は姜尚中さん。
(引用元:『神様のカルテ3』裏表紙より)


プロローグ

 御嶽荘のお話。
 一止が早めに家に帰っていることを「夏の雪」と例える男爵の感性が好きです。

第一話 夏祭り

 一止の患者さんが夏祭りで金魚屋をする話。
 こんな患者さんがいっぱいいると大変。

第二話 秋時雨

 東西主任と主任の高校の頃の先生とのお話。
 みんな幸せって言うほど円満ではなくても、主任と先生にとっては良い結末だったのではないかと思いました。

第三話 冬銀河

 小幡先生の苛烈な言葉が出てくるお話。
 彼女自身の心持としては、信念に従えばいいと思うけれど、他人に迷惑をかけるような行為をするなら、それなりの対応をするべきではないか。
 私がまだまだ子供の考えを持っていることがそう思わせるのかもしれないけれど、耕はなりたくないなと思ってしまった。

第四話 大晦日

 小幡先生の事情が分かる話。
 事情が分かればやっぱり人は納得して、協力したり理解しようと思うんだなぁと。でも私も一止みたいなところあるので理解できる気がします。

第五話 宴

 一止の送別会。
 大狸先生の粋な計らいが本当に素敵。

エピローグ

 屋久杉くんがいなくなり、学士さんが戻ってくる。
 変わっていくものがたくさんある中で、変わらないものもあるのだなぁと。

<総括>

人間ドラマが中心だった今作。一止の覚悟も、周りの人のやさしさも、小幡先生の自分と一部の患者に厳しい信念もすべてがリアルでした。
患者での視点でしか言えませんが、誤診だったと聞けば戸惑うけれど、背景として似たような病状のものがあって、こういうことが無いと判断がつかないというような説明をしてくれるとわかりやすいのかなと。
そもそも病名って漢字が並んで分かりにくいとか、カタカナで意味全く分からないってイメージなので、丁寧に説明してくれるだけでありがたいのです。

こんな人におすすめ

・命と向き合う職業の方
夏目漱石好きの方
・死について考えたい方
・人間ドラマが好きな方