『神様のカルテ2』

おつひよ!
昨日に引き続き、読書案内です。


タイトル:『神様のカルテ2』

著者:夏川 草介(なつかわ そうすけ)
出版:小学館文庫 出版年:2013年1月9日
ページ数:380p ISBN:9784094087864 価格:657円+税

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「医師の話ではない。人間の話をしているのだ!」



<あらすじ>

栗原一止は、夏目漱石を敬愛する信州の内科医だ。「24時間、365日対応」を掲げる本庄病院で連日連夜不眠不休の診療を続けている。
4月、東京の大病院から新任の医師・進藤辰也がやってくる。一止年なの大学の同級生だった進藤は、かつて〝医学部の良心〟と呼ばれたほどの男である。だが着任後の進藤に、病棟内で信じがたい悪評が立つ。失意する一止をさらなる試練が襲う。副部長先生の突然の発病――この病院で、再び奇蹟は起きるのか?
史上初、シリーズ2年連続本屋大賞ノミネートの大人策が映画と共に待望の文庫化! 解説は田中芳樹
(引用元:『神様のカルテ2』裏表紙より)


プロローグ

 運動嫌い――というより歩くのが好きではない私にとっては想像しがたいが、山を登った後の達成感というのは、こういう美しい景色をじかに見れるというものによって得るものではないだろうか。
 信州に行ったこともないので、映画で見た景色しか知らないが、あの景色を生で見れるなら、ちょっと登ってみたい気がする。

第一話 紅梅記

 久しぶりに再会した友人が、一止にとっては人が変わったように見えるというお話。
 社会人になってから特に思うのが、人に迷惑をかける可能性があるときは言える範囲で事情を話すなど理解を求めなければならないということです。
 学校なら欠席したってグループワークとかがない限り問題ないと思っていたんですが、よく考えたら義務教育の間はどうして休むのかを保護者が説明してくれていたんですよね。今職場で仕事残して帰った人の事情が全く分からないと、何で途中で帰ったんだろうと思う自分がいて、自分一人で回している仕事ではないのであれば、きちんと周りに説明することも大事だなと感じるお話でした。

第二話 桜の咲く町で

 進藤の事情が分かるお話。
 紅梅記の感想にあげていますが、事情を話さなければいけないにしても他人に噂されるのはまた違うかなと思いました。

第三話 花桃の季節

 古狐先生こと副部長先生が発病する話。
 今作全体で副部長先生との絡みは多かったのですが、その分一止の気持ちがわかるような気がします。

第四話 花水木

 副部長先生ご夫婦のために本庄病院の多くのスタッフが頑張るお話。
 映画版ではちょっと設定が変わっているのですが、このシーン、本当に素敵なのでぜひ見てください。

エピローグ

 御嶽山に登る話。
 ハルに人間味を感じられてよかったです。

<総括>

「医者である前に、一人の人間である」当たり前のことなのに忘れがちなことだと思います。同様に言えるのは介護士自衛官……人の命に係わる職種についている人たちでしょうか。少し違いますが、接客業の方に「お客様は神様だ」という視点から無理難題を言う人も増えていますよね。
 職業にかかわらず目の前にいるのは一人の人間であると思えば、もう少し優しい世の中になるのかもしれません。

こんな人におすすめ

・命と向き合う職業の方
夏目漱石好きの方
・死について考えたい方
・映画「神様のカルテ」が好きな方