『コーヒーが冷めないうちに』
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というわけで、今回は映画を見て買うことを決めたこちらの本のレビューです。
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タイトル:『コーヒーが冷めないうちに』
著者:川口 俊和(かわぐち としかず)
出版:サンマーク出版 出版年:2015年12月6日
ページ数:348p ISBN:9784763135070 価格:1300円+税
<あらすじ>
とある街の、とある喫茶店の
とある座席には不思議な都市伝説があった
その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという
ただし、そこにはめんどくさい……
非常にめんどくさいルールがあった
1.過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない
2.過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない
3.過去に戻れる席には先客がいる
その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ
4.過去に戻っても、席を立って移動する事はできない
5.過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、
そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ
めんどくさいルールはこれだけではない
それにもかかわらず、今日も都市伝説の噂を聞いた客がこの喫茶店を訪れる
(引用元:『コーヒーが冷めないうちに』サンマーク出版HPより一部抜粋)
プロローグ
全編通して共通のルールを提示しているのでわかりやすい。
第一話『恋人』結婚を考えていた彼氏と別れた女の話
年上彼女が年下彼氏のアメリカ行きで悩む話。
5W1Hをはっきりと提示していて今どんな状態なのかわかりやすい。
二美子以外の登場人物が平井を除いて落ち着いた登場人物なので、ひとり焦ってドタバタしている感じが良く出ている。
第二話『夫婦』記憶が消えていく男と看護師の話
アルツハイマーに罹った夫と妻として支えている看護師の話。この物語でだけでも心動かされるが、設定が変わった映画でもよかったエピソードなので、ぜひ見てほしい。
夫の行動の意味も考えるととても尊くて、自分を忘れられるっていう体験はしたくないけど、こんな夫婦に憧れる。
第三話『姉妹』家出した姉とよく食べる妹の話
老舗旅館の跡取り娘である平井が家を飛び出してからも説得に来る妹との話。
諦めずに説得し続ける妹の気持ちとそんな妹に逢いたくない姉の気持ち、どちらもわかるからこそしんどくなる気がした。
<総括>
以前から気になっていた作品で、映画に伴って文庫化しないかなと思ってたんですが、しなかったのでソフトカバーで購入しました。
元々舞台脚本のため、台本を小説にしたらこんな感じという文章ですが、逆にそれが淡々としていてわかりやすいと思います。特に舞台の脚本だった名残でもある狭い喫茶店の描写が想像しやすいかと。
この作品は映画にもなりましたので、映画から入る人もいると思いますが、映画とは設定が一部違うため、何度も同じ話は嫌という人でも相違点を探しながら読める作品だと思います。
正直映画のキャッチフレーズで本の帯にもある『4回泣ける』は信用できないと思っていましたが、実際涙は流さなくても心は動かされると思います。
こんな人におすすめ
・感動モノが好きな方
・人間ドラマが好きな方
・舞台・映画が好きな方
・日常の中の非日常を楽しみたい方